築53年団地、3人+猫2匹│ビンテージ家具で「自分の機嫌をとる」お台所
- 誰の台所?:chulashihoさん(50代/主婦)
- 間取り:ダイニングキッチン
- 設備:クリナップのシステムキッチン(ラクエラ)/壁付けI型(約220cm幅)
- お家と住人:築53年の分譲団地(リノベーション済/3LDK/約77㎡)・夫婦と息子の3人+猫2匹
※2024年7月時点の情報です
開放感のあるリノベーション物件でスッキリ暮らす
人はどのような生活観念を持ち
暮らしているのか?その答えはズバリ
生活感が出やすいキッチンにあり!
十人十色な住人さんの
生きかたや趣味趣向を、
家庭でいちばん生活感が出るであろうキッチンからノゾキミさせてもらおう
という好奇心からスタートした台所拝見。
今回は、関西にお住まいの主婦・chulashihoさんが主人公です。
chulashihoさんが現在のお住まいに引っ越したのは8年前のこと。
諸事情あり短期間で物件を決める必要があったものの、条件が限られていたおかげ(?)でスムーズに進んだのだとか。
──お住まいを決めた経緯を聞かせてください。
chulashihoさん:大前提として「自分が通っていた幼稚園・小学校に息子も通わせたい」という主人の希望がありました。第一条件が「校区内」になったことで、良い意味で選ぶ範囲が狭められたと思います。当初は戸建て・集合住宅、賃貸・分譲を問わず探していたのですが、土地柄のせいかどれもこれも高いんですよね。せっかくお金を払うなら思い切って購入しよう! となり、縁があったのがこのリノベーション物件です。
──短期間で進めるのは大変だったでしょうね。入居までどれくらいかかりましたか?
chulashihoさん:じつは内覧まで進んだのは2件だけです。(当時年長だった息子の)入学準備もあったので大変だったのは間違いないのですが、条件が限られていたおかげで分譲物件を購入するわりにはスムーズに進んだかもしれません。リノベーション済みということもあり、リビングの壁を塗る程度の手直しだったので、探しはじめてから5か月くらいで入居できました。
自分で自分の機嫌をとるために
──キッチンづくりにおいて心がけていることはありますか?
chulashihoさん:家の心臓部であり、自分が使うことが多い場所だからこそ「自分の機嫌は自分でとる」ことです。自分の好きなもの・目の保養になるものを置くと、モチベーションアップに繋がりますよね。壁も食器棚もキッチンパネルも白くて明るく見えるのですが、その反面散らかると目立つので、なるべくスッキリさせるようにも心がけています。
──明るくてスッキリしたキッチンですね。
chulashihoさん:ありがとうございます。昔から「スッキリした空間で暮らしたい」と思っていたこともありますが、結婚後に越した部屋が50㎡以下の1DK、つぎに主人の実家で同居ということもあり、もともとものが少なかったんです。入居時は部屋が真っ白でした(笑)
──スッキリといえば、ゴミ箱が見当たりません。どこにありますか?
chulashihoさん:フロアキャビネットのなかです。生ゴミは冷凍庫の専用スペースで保管して、収集日に取り出しています。というのも、私が独身時代に住んでいた団地にはロータリードラム(いつでも捨てられる簡易ゴミ処理機)があったので、ゴミ箱を置かない生活に慣れていて。結婚後の住まいに置いたこともあったのですが、独特の存在感が苦手でこのスタイルに落ち着きました。
──「いつもスッキリ」だと、台所仕事に対する抵抗感もやわらぎますね。
chulashihoさん:そうですね。家事動線がよくなると「自分の機嫌は自分でとる」ことにも繋がるはずです。けっきょくのところ極力ものを増やさず、これ以上でもこれ以下でもなく、与えられた環境のなかでアレコレ考えるのが好きなのかもしれません。
キッチンの主役・ビンテージ家具たち
chulashihoさんのキッチンでまっ先に目を奪われるのが、「自分で自分の機嫌をとる」ために選んだビンテージ家具たちです。
食器やラグなどもビンテージを愛用されているchulashihoさんですが、すこし前までは「(いわゆる)古いもの」に興味がなかったのだとか。
──家具紹介のまえに、ビンテージを好きになったきっかけを教えてください。
chulashihoさん:海外のかたのHORNSEA(ホーンジー/後出)コレクションをSNSで見て、「なんて素敵なんだろう!」と心奪われたことがはじまりです。さらにその後、アンティーク好きなお友だちからも影響を受けました。それまでの私はビンテージやアンティークに興味を持っていたものの、ひとりっ子で何でも新しいものを手にして育ってきたため、古いものにはなんとなく抵抗がありました。しかし、その(アンティーク好きな)お友達から「私は兄のお下がりをもらっていたし、ごく当たり前に“古いもの”が身近にあったから、古着とかもすごく好きだよ」と聞いて、すごく腑に落ちたんです。
──というと?
chulashihoさん:私も大人になってから母や祖母から着物や宝石などを受け継いでるので、それと同じだなあと。古いものに対する抵抗がなくなったどころか、魅力に気づかせてくれたというか。世の中には新しく作られた良質なものもたくさんあり、もちろんそれも素敵ですが、古くても良いものを誰かが引き継いで大切に使っていくという考えかたを、お友達から教わったように感じています。
G-PLAN(ジープラン)のキャビネット
──(SNSで)よく質問されるそうですね。どちらで購入されましたか?
chulashihoさん:アンティーク・ビンテージ家具を扱うMF6さんです。インスタライブで販売されていて、指値で購入しました。チーク材のこっくりした色、レトロかわいい角丸のガラスに丸い取っ手に、ヘアピンレッグのハードっぽさ、という組み合わせにひとめぼれです。
──ビンテージ家具を置くときのコツはありますか?
chulashihoさん:ビンテージと言っても、クラシック・モダン・ポップ・シャビーシックなどさまざまなので、お部屋と合うスタイルを探したり、置く家具のテイストを統一するとバランスが取れる気がします。わが家の場合、モダン・ミッドセンチュリーなビンテージ家具を置くことで、部屋全体がしっくりくるようになりました。
ERCOL(アーコール)のテーブル、チェア
──まずはテーブルについて教えてください。
chulashihoさん:アーコールのドロップリーフテーブルは、アンティーク・ビンテージ家具を扱う70Bさんで購入しました。丸テーブルを愛用している友人から「テーブルが丸いと食事中に家族全員の顔が見えていいよ!」と聞いて、ずーっと憧れていて。まん丸じゃなく卵型ということもあり、以前置いていた四角いテーブルに比べ圧迫感が無く、狭いダイニングでもスッキリ見えてくれます。
──70Bさんって品揃えが豊富で人気ですよね。椅子はどちらのものですか?
chulashihoさん:左はアーコールのゴールドスミスで、購入先もテーブルと同じく70Bさん。この椅子が、はじめて購入したビンテージ家具ですね。ほかの2つはブランド不明のオランダ製で、購入先は家具リラックスさんです。ちなみに敷いているラグもビンテージで、トルコヴィンテージラグ専門のuchiasobiさんで購入しました。
猫と一緒に暮らすということ
ガスコンロの撮影をしていたところ「わたしの特等席よ」と言わんばかりに登場し、窓際でニャルソックをはじめた らむね ちゃん。
筆者宅には鳥類がいるため、キッチンでの禁忌事項は多いです。そこでchulashihoさんにもこんな質問を投げてみました。
──キッチンづくりにおいて、猫ちゃんに配慮している部分はありますか?
chulashihoさん:基本的なことですが、危ないものを置きっぱなしにしないように心がけています。あとは……「配慮」とは違うかもしれませんが、食器を洗ったときは必ずシンクを洗うようにしていることでしょうか。らむね だけなのですが、一時期シンクの中で寝たり蛇口から流れる水を飲むことにハマったので、汚いとかわいそうだと思ったからです。猫と暮らすようになってから「ちゃんと掃除しよう」という気持ちが強くなったと感じています。
お気に入りキッチンアイテム、教えてください
少し視点を変えて。
愛用のキッチングッズのエピソードから、chulashihoさんがどのようにキッチンを使っているかをノゾキミさせてもらいましょう。
照宝の丸まな板
chulashihoさん:横浜の中華調理器具専門で売ってるまな板です。木のまな板が欲しいと思っていたときにSNSで見つけたのですが、対面販売がメインとのことで、神奈川に住んでる知人に代理購入をお願いして送ってもらいました。
とにかく刃当たりがよくて、どんな食材でも切りやすいですし、削り直しをすれば長く使える点もいいですね。
お手入れは洗剤で洗い流したあと熱湯消毒をするくらいですが、一度だけハイター漬けしてしまったことがありちょっと薄くなっちゃいました。
──小さく感じるのですが、サブのまな板でしょうか?
chulashihoさん:いえ、これをメインに使っています。径24センチなので小さく見えると思いますが、たとえば……きゅうりとピーマンとにんじんを細切りにするとします。四角いまな板だと、切った食材を端に寄せて次の食材を切りますよね。でも、丸いまな板ならクルっと回すだけでスペースが確保できます。これが想像より便利でした。キッチンもワークトップも広くはないので、小回りが利く調理器具は助かります。
ビンテージのカップ&ソーサー/ホーンジーコレクション
chulashihoさん:アラビアなどの北欧ビンテージ、ウェッジウッドなどの英国ビンテージを中心に、ついつい集めてしまいます。(増えすぎて)SNSのフォロワーさんにお譲りしたので、これでも少なくなったほうなんですけども。
なかでもホーンジーはお気に入りで、カップ&ソーサーだけでなく大小さまざまなキャニスターやお皿などを集めています。
──ホーンジーというと、ビンテージを好きになったきっかけにも挙げていましたね。なにかエピソードがあれば教えてください。
chulashihoさん:はじめて手に入れたホーンジーは、誕生日を口実にして主人に買ってもらったものです。見た目はシンプルですが、北欧デザインを意識したような幾何学的な模様や、こっくりとした渋い色合いがたまらなくて。見つめながらずーっとニヤニヤしていたのを覚えています。
その後、ホーンジーにハマり飾る棚が欲しくなったので、主人に内緒でG-PLANのキャビネットを購入しました。ふふふ。
──それにしてもかわいい!マグカップがあれば欲しいです。
chulashihoさん:ホーンジーは残念ながら2000年に閉鎖されてしまったので、現在手に入るのはビンテージのみです。元々数が少ないのですが、マグカップはさらに少ない印象があるかも?見つけたら早くゲットしたほうがいいですよ~。
新しい内装にビンテージ、バランスを取りながら楽しみたい
──つぎに狙っているビンテージアイテムはありますか?
chulashihoさん:家具などの大物はもういいかなと思っています。パッと思い浮かぶようなものはないですが、増やすなら目の保養になる小物類ですね。家具のくだりでもお伝えしましたが、(築古とは言えど)きれいにリノベーションされた住まいなので、ビンテージアイテムがありすぎてもゴテゴテするだけだと思うんです。
──好きだからこそトゥーマッチは避けたいと。
chulashihoさん:そうですね。バランスは大切にしたいです。古民家に住んだらビンテージに全振りするんですけど、適度に古いものを置きつつ新しいものとミックスさせるほうが、いまの生活・住まいには合ってるかなあ。バランス取るという意味でも、アンティーク(100年以上のモノ)は手を出さないようにしています。とは言え、数年後にどう変わってるか分からないですけども。
玄関を開けた瞬間からステキなお住まいでうっとり。chulashihoさんが「はははっ!」と軽やかに笑ってくださるのが嬉しくて、ついつい色んな話をしてしまいました。喋り足りないので、また遊びに行きたいです(笑)
chulashihoさん、ありがとうございました!
ABOUT:chulashiho
8年前にリフォーム済みの築古マンションを購入。ひとり息子と猫に癒されながら居心地のよい部屋を模索しながら暮らしています。
キッチンは狭くても収納が少なくても使い勝手よくレイアウトを替えたり、お気に入りの道具や食器で料理を作る時の自分の機嫌を取るようにしています。