長く愛せる工夫とは?|自分で設計!愛すべき生活感のあるお台所
- 誰の台所?:ヨコさん(30代女性/インテリアデザイナー)
- 間取り:リビングダイニングキッチン(キッチンは約5.5畳)
- 設備:リクシルのシステムキッチン(アレスタ)/造作対面I型(約255cm幅)
- お家と住人:都内近郊、築23年のマンション(2LDK/65平米)/夫婦2人暮らし
※2021年8月時点の情報です
緑色が大好きなアラフォー主婦で、このサイトの運営者。
服飾雑貨業界で企画営業&生産管理をしていたこともあり、作り手さんの妙を感じるとイチイチ感動しがち。
詳しくはコチラ。
キッチンも、愛され続ける古道具のような存在になって欲しい
人はどのような生活観念を持ち暮らしているのか?
その答えはズバリ、生活感が出やすいキッチンにあり!
十人十色な住人さんの「生き方」や「趣味趣向」を、家で一番生活感が出るであろうキッチンからノゾキミさせてもらおう!
という好奇心からスタートした「台所拝見」。
今回は、都内のマンションにお住いのヨコさんが主人公です。
ヨコさんは、インテリアデザインを生業とする家づくりのプロ。
二級建築士の資格も持ち、内装の設計やデザインなど幅広く家づくりに携わっています。
そんな数多くのお家を見て来たヨコさんが、マンションを購入したのは2017年。
現場での経験と好みを融合させ、使える箇所は残しながら「長く愛せる家」を目指しリノベーションを行います。
設計はもちろん、ヨコさんご本人。
お家って、年数を重ねる毎に様々な箇所が劣化するのは当然ですよね。
だからこそ私は、「歳を取っても良い味を出し、愛され続ける古道具のような存在」になってほしいと願っているのです。
テーマは「古き良き日本を思い出すようなキッチン」
全体的にはシンプルに、カフェのような落ち着く空間にしたいと思ってデザインしています。
また、お気に入りの作家ものの器をディスプレイしたり、大きな吊り下げ収納を加えたりと、「すっきり」より「素敵なごちゃごちゃ感」「愛すべき生活感」があるキッチンを目指しました。
キッチンのテーマとこだわりポイントは、古き良き日本を思い出すようなモルタル仕上げの土間床。
そして、少しレトロな雰囲気のあるヘキサゴン=六角形のモザイクタイル。
遠目からだと黒に見えますが、真っ黒ではなく墨黒です。この絶妙な色合いがとても気に入っています。
土間床もタイルも、時を経て馴染んでくれるといいなぁと思っています。
やはり、一番目を引かれるのはキッチンタイル。とても憧れます!
私のブログでもお話していますが、タイルは「長く愛せる家づくり」にぴったりなアイテムのひとつです。
素材である磁器や陶器は、外壁に使われるほどの耐候性(※)を持つ経年変化の少ない優等生素材。
築何十年経ったお家で、タイルだけ綺麗に残っている風景をご覧になった事がある方も多いのではないでしょうか。
ただ、タイル自体の金額に加え施工費もそこそこするので、全てのご家庭向けでは無いかもしれません。
また、目地が汚れたりするデメリットも踏まえると、背面に貼ることをおススメする事が多いです。
※耐候性とは、建築材料などを屋外で使用した際の耐久性のこと。太陽光や温度・湿度の変化、風雨などの気候の変化に対する劣化や変質の起きにくさを表す。
耐候性(たいこうせい)とは|お役立ち!リフォーム用語集|リフォーム評価ナビ (refonavi.or.jp)
キッチンのお気に入りポイント
それでは、ヨコさんお気に入りポイントからキッチンをノゾキミさせてもらいましょう。
器が飾れる長い棚
器が大好きで、長い飾り棚にディスプレイすることに憧れていました。
並んだ状態をキッチンデザインの一部として考えているので、たまに配置を変えてちょっとした着せ替え気分で楽しんでいます。
見せる収納が棚一段だけでもあると、空間が一気に華やぐのでおススメです!
吊り下げ収納
ダルトンのアイアンバーを使っています。
今のところ問題無いですが、錆びたり劣化してもそれはそれでかっこいい。
古道具と同じように、長く愛用出来ると思って選びました。
吊り下げているとすぐ使えて片付けが楽ですし、きちんと並べたらディスプレイとしても映えてくれます。
鉄フライパンは湿気の多い場所は避け、吊るして保管する事が推奨されているようなので理にかなっていますね。
リクシルのシステムキッチン(アレスタ)
素材選択・大きさ・棚の形状まで自分の好み通りに造り上げる「造作キッチン」にするか迷ったものの、ズボラな私には掃除のしやすさまできちんと考えられた国産品が最強だと判断。
私が選んだ「アレスタ」には対面式もあるのですが、カウンターの素材やカラーが部屋に合わなかったので、I型壁付けタイプの裏側(対面にした際見える壁面)のみ造作して対面キッチンにしました。
リクシルのガスコンロ(ひろまるコンロ)
主人が鉄フライパンを使い分けるほどの料理好きなので、ガスコンロ一択で検討。
手前2口の間隔が従来より広く、両方に大きなフライパンを置いてもお互いが邪魔になりにくい点が決め手となり、「ひろまるコンロ」を選びました。
トッププレートの色は我が家のホワイトを含む計6色あり、部屋のイメージカラーに合わせて選択する事が可能。
見た目も可愛いうえにお手入れもしやすく、とても気に入っています。
ちなみに、主人は手の込んだ調理も得意で、豚や煮干しを煮込んで出汁を取った本格的なラーメンや、手の込んだタイ料理などを作ってくれることも。
私は基本的に飲む&食べる担当です…(笑)
どうしてる?気になるキッチンのアレコレ
台所図鑑の読者さんから「見たい!」というリクエストが多い、収納と照明について伺いました。
限られた空間を最大限活かして、少しでもすっきり見せたいキッチン収納。
また、包丁を使う手元を照らすキッチン照明は、見た目はもちろん光量も重要なポイントです。
数多くのキッチンを見てこられたヨコさんならではのアイデア・チョイスとは?
見せる収納・隠す収納
好きな器などを楽しむ為の「見せる収納」と、
ストックや雑多な見た目の物、飾りたくはないけど捨てると困る普段使いのお皿用の「隠す収納」を分けました。
背面の扉付き収納棚の天板はシナ合板で、オイル塗装を自分で塗り直しながら使っています。
TOOLBOXさんで購入した木製のつまみを付けて、ちょっとしたアクセントに。
この棚は、家電を置いたり作業するカウンターとしても活躍しています。
収納について、
お施主さんと向き合う中で感じた事はありますか?
キッチン周りの荷物量を把握することが大切だと思います。
「便利なはず!」と、大きなパントリーを作ったり棚を増やしても、使いこなせないどころか無駄な物が増えてしまうケースも。
本当に必要な物とそうでない物を整理して考えることから始めてみると良いかもしれません。
「限られたスペースしか無い」「そもそもキッチンが狭い」という方も多いと思います。
どのような改善策があるでしょうか。
手っ取り早いのは縦の空間を活用することです。
カウンターの上にラックなどを置いて高さを利用したり、我が家のように吊り下げてみたり。
普段使わないストック等は別途収納場所を作ると良いかもしれませんが、先ほどもお伝えした通り、まずは本当に必要な物かどうか見直すことが一番大事だと思います。
物を見直した結果「実は追加の収納が不要だった!」なんてケースもありそうですね。
キッチン照明
調理中に暗いと困るので、主照明はしっかり見える温白色のダウンライトにしました。
電球色と昼白色の中間である温白色なら、暗過ぎず明る過ぎず1日通して馴染んでくれます。
手元(シンク~ワークトップ)の真上には、無駄な装飾が一切無い「工業レセップライト」にLEDエジソン球を付け、少し武骨なレトロ感を演出。
遊び心をメインにデザイン重視で選びました。
夜中起きた時に真っ暗だと不安なので、この補助照明だけ付けて寝ることもあります。
「明るさ・掃除のしやすさ」を優先して選ぶ事が良いキッチン照明ですが、おしゃれさが加わってくれるとより嬉しいですよね。
主照明に加え、素敵なデザインの照明を補助的に設置すれば、気分を高める事が出来ます。
お気に入りキッチンアイテム、教えてください
少し視点を変えて、ヨコさんの愛用品から実際どのようにキッチンを使っているかノゾキミさせてもらいましょう。
1回分のコーヒーポット
主人は飲みませんが、私はコーヒーが大好き。
1人分のみ淹れられるコンパクトさが決め手となり、高円寺のcotogotoさんで購入しました。
サイズ感はもちろん、シンプル可愛い見た目でキッチンディスプレイとしても重宝しています。
ドリップで丁寧に淹れた美味しいコーヒーは、休憩時間の癒しの存在。
ダイニングやリビングのカウンタースペースで飲むなど、その時々で場所を変え、家全体をカフェ感覚で楽しんでいます。
仕事中に口さみしくなった時は、手っ取り早くインスタントコーヒーを飲むことも。
それはそれで、らくちんで美味しい!
杉本寿樹さんの土鍋
ちょうど2合分炊ける小さめの土鍋です。
難しい・面倒くさそうなイメージがあるかもしれませんが、実はとても簡単に早く炊けます。
我が家では1.5~2合まとめて炊き、余ったお米はラップに包み冷凍庫で保管。
冷凍すると少し風味は落ちますが、炊き立ては本当に美味しい!
もう炊飯器には戻れません。
ヨコさんの台所拝見まとめ
人はどのような生活観念を持ち暮らしているのか?
その答えはズバリ、生活感が出やすいキッチンにあり!
十人十色な住人さんの「生き方」や「趣味趣向」を、家で一番生活感が出るであろうキッチンからノゾキミさせてもらおう!
という好奇心からスタートした「台所拝見」。 今回のヨコさんキッチンはいかがでしたか?
経年変化を理解した素材選びや、普遍的=流行りに左右されないデザインを取り入れること。
ヨコさんが大好きな古道具の魅力に通ずる、「長く愛せる」がぎっしり詰まった素敵なお台所でした。
ヨコさんが運営されているブログ「FULUME」には、大好きな古道具・蚤の市紹介をはじめ、デザイナーならではの長く愛せる家づくりのヒントが本音で綴られています。
とっても勉強になるので、是非ご覧になってください。
リフォームに興味があるかたはコチラもチェック。
近くの業者をササっと見つけることができます。
ヨコさん、ありがとうございました!
ABOUT:ヨコ
インテリアデザイナー歴11年。
マンションリノベーションの設計デザインをしています。
古道具が好きでブログ『FULUME』を開設。
敷居の高いイメージの古道具を沢山の人が楽しめる存在になるように日々記事をかいています。
いつか自分のお店をもつのが夢です。
all photo by ヨコ