築46年アパートで作るレトロな空間│和洋折衷、大正ロマン風のお台所

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キッチン インテリア
築46年アパートで作るレトロな空間│和洋折衷、大正ロマン風のお台所
  • 誰の台所?:永井隆太郎さん(40代・音楽講師)
  • 間取り:ダイニングキッチン(キッチンは約2畳)
  • 設備:ナスステンレス(現ナスラック)のセクショナルキッチン/壁付けI型(約170cm幅)
  • お家と住人:築46年のアパート(2DK)/ひとり暮らし

※2023年10月時点の情報です

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築古物件の雰囲気を活かしたい、がきっかけでレトロ好きに

後藤照明

人はどのような生活観念を持ち
暮らしているのか?その答えはズバリ
生活感が出やすいキッチンにあり!

十人十色な住人さんの
生きかたや趣味趣向を、
家庭でいちばん生活感が出るであろうキッチンからノゾキミさせてもらおう

という好奇心からスタートした台所拝見
今回は、ギターやホルンの指導をおこなう音楽講師の永井隆太郎さんが主人公です。

永井さんが現在のお住まいに引っ越したのはちょうど1年前。長年住んでいたアパートの取り壊しがきっかけでした。
長くお世話になっていたこともあり、少なからず淋しさを覚えていた永井さんでしたが、当時読んでいた本に「終わりが人を自由にする」という一節を見つけたおかげで前向きに準備をはじめたのです。

──まえのお住まいも築50年以上だったとのこと。そのころからレトロテイストがお好きだったのでしょうか?

永井さん:最初から「古い雰囲気が好き!」というワケではなくて。「縁あって築古物件に住みはじめたし、その雰囲気を活かすインテリアを心がけたい」と意識しだしてから徐々に好きになった感じです。

──(お写真を見せてもらう)ぎゃー!まえのお住まいもテイストの違うレトロさがあってステキです!では、いまのお住まいに決めたきっかけを教えてください。

永井さん:まえの住まいでレトロ好きに目覚めたこともあり、つぎは大正ロマン風なインテリアにしたいと考えていました。
そんなとき、黒に近いダークブラウンの柱等があるアパートを発見して「ここはこうしたい、あそこはああすれば……」と、イメージが自然に浮かんできたんですよね。最寄駅から徒歩10分という点も後押しになりましたが、8割位は柱の色で決めました(笑)
古い物件は(自分にとって)満足度が高いのに家賃が比較的安く、固定費を抑えられるところも魅力だと感じています。

レトロな空間と使い勝手の両立を目指したキッチン

昭和のキッチン

永井さんのキッチンテーマは「レトロな空間と使い勝手の両立」。

スッキリ見えるようモノを少なくしつつ、よく使う調理道具は外に出して効率を優先させて。
もうひとつのこだわりである「レトロ空間」は、キッチン家具が雰囲気作りを担っています。

レトロな雰囲気作りはキッチン家具におまかせ

昭和のキッチン

まっ先に目を奪われるのは、16世紀後半に登場した英国アンティーク家具の定番・ゲートレッグテーブル。2枚の天板を門扉(ゲート)のように開き、脚(レッグ)で支えることから命名され、ツイストレッグのものがとくに人気なのだとか。

それに合わせたのは、イギリス製のアンティークチェア。張り替えたら長く使える点もアンティーク好きの心をくすぐります。
これらのダイニングセットのおかげで、和テイストが強めだったキッチンが一気に和洋折衷となり理想に大きく近づいたのだそう。

──この絶妙なお色の食器棚もステキです。購入先やエピソードを教えてください。

昭和のキッチン

永井さん:仙台にある古道具屋の「紫山 shizan」で購入しました。入荷時は濃いあずき色だったのですが、メンテナンスで黒くリペイントしたとのこと。色を重ねたことで表情に深みが増したと感じているので「よくぞ黒にしてくださった!」という気持ちです(笑)
この部屋に越して来てすぐ見つかってくれたし、食器の収納量や高さも自分にピッタリ。やはり縁があったのかなあと思っています。

──(キッチンに限らず)どういった流れで家具を決めていますか?

永井さん:大正レトロのイメージに合うショップを探すことからはじめて、いくつか候補を選び、既存の家具との相性が良ければ購入する、というのが大まかな流れです。
予算はあらかじめ決めていて、越えても数千円くらい。圧迫感が出やすい収納家具は高さ100センチ前後を目安に。最近は木製家具を買うことが多いので、なるべく色味を揃えるようにしています。

お気に入りポイント①:適度に大きい窓

昭和のキッチン

台所作業がしやすい明るいキッチンは、趣味である読書にもピッタリな空間。
(パソコンデスクにある)オフィスチェアのほうが座り心地は良い反面、ついつい目の前のパソコンを触ってしまうため、ここでじっくりと読書を楽しんでいるのだそう。

ただ、西向きゆえの対策も必要だったようで……。

永井さん

明るくて気に入っているものの、午後になると西日が眩しいという側面も。
部屋との相性と簡単に洗えるのが決め手でカーテンにしましたが、スクリーンやブラインドに変えるかもしれません。

お気に入りポイント②:拡張したワークトップ

昭和のキッチン

ワークトップを広げるべくシンク横に設置したステンレスの作業台は、アジャスターが付いてるおかげで高さピッタリ違和感なし。組み合わせ次第では、スケルトンキッチンのような雰囲気も出せそう。

下に置いているレトロなゴミ箱は、キャスター台に乗せているので出し入れラクラクです。

永井さん

ステンレス台ひとつで想像以上に使いやすくなりました。レトロ感と見栄えの両方を叶えることができて満足しています。

お気に入りポイント③:レトロな小窓

昭和のキッチン

お気に入りポイントとして最後に挙げてくださったのは、キッチン横に(なぜか)ある引違いの小窓。
引越し当初は活用法を見いだせていなかったそうですが、いまではアートやオブジェを置く飾り棚として活躍しています。

そのほかにも、iPadを置いて動画を見ながら台所作業したり、荷物や出前を置いてもらったりしているうちに「案外便利かも」と感じるようになったとのこと。もっと住み続けていると、意外な使い道が見つかるかもしれませんね。

永井さん

なにはともあれ、とにかく見た目が好き!
かなり強引に取り付けられた給湯パネルも含めて、レトロな風情があるなあと思います。

どうしてる?気になるアレコレ

台所図鑑の読者さんから「見たい!」というリクエストが多い照明と、「どこに置くか?どんな形状を選ぶか?」を悩みがちな米びつについても教えてもらいました。

レトロモダンなキッチン照明

永井さんが選んだのは、熟練の職人による手作り照明器具を製作販売している後藤照明のペンダントライト。
レトロモダンを彷彿とさせる古き良き日本の照明で、趣のあるお台所によくお似合いです。

──明治28年創業の老舗メーカーさんやはりレトロ好きには有名なのでしょうか。ほかのお部屋はどんな照明を選んでいますか?

永井さん:明治28年創業というのはいま知りました(笑)こちらはネットで調べていたときに見つけたのですが、現行品でレトロな照明を探していると巡り巡って後藤照明に着地するので、感覚的に好みなんだと思います。
ほかの部屋については、キッチンと同じく乳白ガラスに絞って照明を選んでいます。

昭和のキッチン
三田みどり

チラリと写る奥のお部屋もステキだったので、照明のくだりにかこつけて(アンプとエフェクターボードも画角に入れて欲しいというめんどくさいお願いを加えて)お写真を撮ってもらいました。

スタンドライトはもちろん、ドローリーフテーブルも絵もラグもカーテンもぜんぶステキ。はあステキ。

シンプルなライスストッカー(米びつ)

昭和のキッチン

──選んだきっかけや収納場所のこだわり、炊飯後の保存方法なんかも教えていただきたいです。

永井さん:見えないところに置くつもりだったので、とくにこだわりを持って購入したわけではないんです。収納場所はガスコンロ下の棚。単純にここしか収納場所がなかったというのが大きな理由です。
ご飯はある程度まとめて炊いて、そのとき食べない分はすぐにラップして冷蔵です。冷凍保存も試しましたが、冷蔵のほうが温め直しのムラがないですしわりとすぐ食べるので、自分にはこっちのほうが合ってると思います。

お気に入りキッチンアイテム、教えてください

少し視点を変えて。
愛用のキッチングッズのエピソードから、永井さんがどのようにキッチンを使っているかをノゾキミさせてもらいましょう。

パール金属の珪藻土マット付き水切りかご

昭和のキッチン

──ダークグレーの水切りかごってはじめて見ました。かっこいいです!

永井さん:外見もさることながら、珪藻土のおかげで手入れがラクなところもいいですね。
この水切りカゴをメインで使っているので使用頻度は低いですが、鍋やフライパンなど大きいものは手前に写っている折り畳み式の水切りマットを併用して乾かしています。

リンナイのガステーブルVamo.(バーモ)

昭和のキッチン

──わが家もグリル無しのコンロに買い替えたので本当に快適です。こちらは「料理好きのコンロ」として販売されているようですが、やはり調理(料理)はお好きですか?

永井さん:おっしゃる通り、排気口とグリルが無いと調理後のお手入れが本当にラクですね。
ひとり暮らしなので頻繁に凝ったものは作っていないですが、料理は好きです。これは「料理好きのコンロ」を銘打つだけあって強火力で使い勝手も良いですし、無骨でスタイリッシュなデザインはプロの厨房を思わせてくれます。

シャープのIH炊飯器 KS-HF05B

昭和のキッチン

──惚れ惚れするほどキッチンにマッチしてますよね。

永井さん:ありがとうございます。見た目優先で購入しましたが、ご飯も美味しく炊けるので大満足です。
以前の炊飯器は22年ほど使ってきたこともあって性能の差に感動してしまい、新調してしばらくはお米を炊くこと自体が楽しみでした。

──キッチン家電って生活感が出るアイテムだと思うのですが、大正レトロなキッチンを作るうえで選ぶコツなどありますか?

永井さん:部屋によって変わることを前提でお話させてもらうと、レトロな雰囲気作りは照明や収納棚に任せて、それらを邪魔しない家電を選ぶ……という感じでしょうか。
「白物家電」なんて言いかたもされるキッチン家電ですが、大正時代って炭火アイロンやストーブなど鉄で作られた(いわゆる)家電の時代なので、ダークな色を選ぶと良いのでは? と思います。

なお、買い替えを迷っているのが冷蔵庫でして。いまは白いものを使っていますが、冷蔵庫などの大きいアイテムは暗い色だと圧迫感が出るので悩ましいところですね。

一朝一夕では身につかないセンス、影響はどこから?

昭和のキッチン

──棚やテーブルのチョイスはもちろん、モノの配置バランスも美術品を並べているように絶妙で。それらしいモノをそれらしく置くだけではこうならないですよね。永井さんのセンスがはぐくまれたカギはどこにあると思いますか?

永井さん:ストレートに言われると面映おもはゆいですね(笑)インテリアに興味を持つようになってからは、関連雑誌や書籍を大量に読んでいました。たくさん触れていると自分の好きなテイストも絞れてくるし、家具の固有名詞なども覚えるようになって、好きなテイストの情報を得やすくなります。
また、美術館やレトロ建築の洋館に行ったり映画を観ることが好きなのですが、インテリアについても付随してインプットされていると思います。これは無意識な点も多いので、ハッキリと「これを参考にしています」というのは無いですが、なにかしらアウトプットされて部屋作りに反映されているのではと感じています。
いずれにしても(自分としては)努力とかではなく、好きなことをしている感覚です。

──それでは最後に、いまのお住まいでの目標や希望などを教えてください。

永井さん:今後、賃貸・分譲どちらにしても、このような物件に出会うのはなかなか難しいと思うんです。インテリアだけでなく住まいそのものを堪能すると考えると、ここが精神的ついの住処になるかもしれない
だからこそ、いまの住まいを存分に楽しみたいので(家主の許可を取る必要がありますが)ステンドグラスが入ったアンティークの引き戸を取り付けるなど、設備面の向上も進められたらうれしいですね。


三田みどり

住まいそのものを堪能する」。
このアパートをどれだけ気に入っているかだけでなく、永井さんのスマートなお人柄も伝わってくるインタビューになりました。

永井さん、ありがとうございました!

ABOUT:永井隆太郎

昭和のキッチン

音楽講師としてギターとホルンのレッスン、小学校で授業をしています。

住まいは築46年のレトロなアパート。

アンティークな雰囲気が好きで、大正ロマン風の和洋折衷インテリアを目指しています。

all photo by 永井隆太郎

\台所図鑑の書籍、好評発売中 です!/

キッチン インテリア

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