70代夫婦ふたり暮らし|母の台所を、娘の目線でのぞいてみた

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70代が使う一般的な家庭のキッチンの全体風景
  • Y子さん(70代/主婦)
  • 築24年の戸建て(4LDK) 夫婦ふたり暮らし
  • 永大産業のシステムキッチン/壁あり対面I型(間口約260cm)  

※2026年4月時点の情報です

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Y子さんの台所拝見

70代の食品ストック

十人十色な住人さんの生きかたや趣味趣向を、家庭でいちばん生活感が出るであろうキッチンからノゾキミさせてもらおう。そんな好奇心からはじまった「台所拝見」。

今回は、私の実家のお台所です。
インタビューはめんどくさいとのことで、娘である私の視点でお送りしたいと思います。

「これくらいでいい」と思えるようになった母

70代の家庭のキッチンの様子(全体)

見た目は「ザ・実家」といったところ。ものを出しすぎず、しまいすぎず、無理なく清潔を保てる状態をキープしています。この24年間で大きく変わった箇所はなく、いつ帰ってもこの風景です。

以前の母は几帳面で、やや完璧主義な面がありました。いまも基本的には変わらないのですが、70代に入るころから少しずつ「これくらいでいい」を許せるようになったように見えます。

台所仕事で真っ先に変化があったのは食事作りでした。お惣菜やインスタント、カット野菜や冷凍野菜を、以前より積極的に取り入れるようになったのです。

魚・肉・野菜のバランスに、彩り、器選び。
毎日の食事作りなんてただでさえ大変なのに、父は何を食べてもうんともすんとも言いません。気に入らなければ、ちょっと箸をつけただけで残すような人です。
それでも母は「残すことはあっても文句は言わん。それだけは助かってる」と言います。

そんなこんなを長年見てきたので、お惣菜などに頼れるようになったいまの母を見ると「ラクできてえらい!」「毎日食事用意してるだけで、もう十分えらい!」と、うれしく思うのです。

この前実家に帰ったときには、筑前煮を持たせてくれました。鶏肉以外は全部冷凍野菜。にんじんはフニャフニャ、里芋は風邪をひいていて、味つけも以前よりずっと薄め。

それでも、ちゃーんと「母の味」だったのだから、不思議なものです。

ものを減らしたのは同世代からの影響?

70代の家庭のキッチンの様子(背面収納)

家族4人分の食器と、使用頻度の低い調理器具などをしまっていた背面収納です。

兄と私が家を出たあとも、中身が変わらないように感じていましたが、本当にすこ~しずつ整理を進めていたようで。一番上の段に入れていた寿司桶やジューサーなどの大きい調理器具は、いつの間にか無くなっていました。

70代の家庭のキッチンの様子(食品ストック)

これは一番下の段です。以前はタッパーウエアなどの保存容器がびっしり入っていたのですが、それらをほとんど処分。いまは食品ストックの場所として使っています。

70代の家庭のキッチンの様子(食器収納)

これは一番使用頻度が高い、こまごまとした食器類を入れている箇所。
量自体はあまり変わっておらず、私としては「まだまだ多い」と感じるのですが、思い入れのあるものはなかなか処分できないようす。

本人(母)は「まあボチボチ進めるわ~」と言っていました。

70代の家庭のキッチンの様子(シンク下収納)

これはシンク下の引き出し。
包丁は2本に、バットは1枚に、鍋類は大中小3つだけ残して処分。鍋は「もう1つ処分するかも」とのこと。

70代の家庭のキッチンの様子(コンロ下収納)

コンロ下には、炒め物用の大きいフライパンと、玉子焼き用のフライパンのみ。
左上にある揚げ物鍋は、もの入れにしているそう。揚げ物なんて10年に1度も作らないのに、なぜあえてこれを残しているのか?娘的にはちょっとした謎です。

と、おおまかに見てもらいましたが、以前もけっしてものが多かったわけではありません。「ものを減らした」と言っても、おもに収納の中です。でも、そういった外から見えない場所の「ものの見直し」って、後回しになりがちじゃないでしょうか。

そんな母の背中を押したのが、当サイト『台所図鑑』の書籍です。どうやら、同世代の暮らしを見て良い影響を受けたようで……。

書籍『台所図鑑』に掲載されているシニア世代のキッチン

本を渡してしばらくは、会うたびに「今日はこれを処分してん。心がすっきりしたわ!」と嬉しそうに報告してくれました。
同じ時代を生きてきた人の暮らしぶりが、母には心地よく響いたのかもしれません。

母と私、台所の「同じところ」と「違うところ」

母に育てられたのですから、似ているところがあるのは当然です。でも、自分で台所に立つようになってからは、「そこはお母さんと違うな」と感じることも増えました。

母と同じところ

油はねが大嫌い

70代の家庭のキッチンの様子(コンロ周り)

「汚れたら拭けばいいだけ」と分かっているけど、恐怖さえ覚えるレベルで大嫌い。母も私も、調理後の掃除がラクなほうを選ぶタイプです。

食洗機があるのに使わない
ちゃんと洗えているか不安だし、(食洗機)非対応の器も多いため、けっきょく手洗いするからです。母は収納場所として使い、私は乾燥機能だけ使っています。

賞味期限切れは滅多にない
母も私も、冷蔵庫に詰め込みすぎないタイプ。賞味期限切れは滅多にありません。

ちなみに……体調不良時に食べたいものは、なぜか同じ「蒸しパン」。よく食べさせてもらったというわけでもないので、本当に不思議。
母は昔ながらのざっくりした食感のものを、私はしっとりきめの細かい食感のものを好みます。

母と違うところ

キッチンマット

70代の家庭のキッチンマット
実家のキッチンマット
疲れにくく掃除がしやすい低反発・L字型のものを選ぶのだそう

母:敷く派/床が汚れるのを防ぎたい
私:敷かない派/毎日何度も掃除するため邪魔になる

キッチンツールの置き場所
母:引き出しの中/外に出すのはホコリが気になる
私:レンジフードに吊り下げ/衛生面も気になるけど使いやすさ重視

食品ストックを買うタイミング
母:安いときに買いだめ/定番アイテムは「安く買ってナンボ!」
私:無くなりそうになったら買う/たくさんあると管理が面倒

食品ストックの置き場所
母:火まわり・水まわりはキャビネット内でも絶対NO
私:コンロ下なら全然OK

テーブルクロス

70代の家庭のダイニングテーブル
母の椅子(右上)だけデスクチェアなのは「お茶を淹れたり小皿を取ったりと、食事中でも何かと動くから」だそう

母:敷く派/傷も汚れも防げるから
私:敷かない派/邪魔すぎる。汚れたらすぐ拭けばいいだけ

台拭き
母:布製布きん/これ以外ある?
私:ウェットティッシュ/濡れている布をどこにも置いておきたくない。煮沸や消毒が面倒すぎる

三田みどり

あくまでも一部を挙げましたが、「違うところ」のほうが多くてびっくり。それでも、根っこの考え方は案外似ている気もします。

お気に入りアイテム教えてください

少し視点を変えて。
愛用アイテムから垣間見える、リアルなキッチンライフをノゾキミしましょう。

砥部焼 江泉窯の浅鉢

砥部焼の江泉窯の浅鉢

四国に住んでいる父方の叔母が買ってきてくれたものだそう。私のなかでは「煮物の器」というイメージが強いです。

母にとって、先に嫁いでいた叔母の存在は大きかったはず。もう何年も会えていないので、今年こそ母と一緒に四国へ行こうと思っています。

Kamenstein(カーメンスタイン)のペーパータオルホルダー

コストコで購入したカーメンスタインのペーパータオルホルダー
現行品とは仕様が異なります

友人から「めっちゃ便利やで!」とおすすめされました。片手でサッと切れて、ロールが勝手にほどけない構造。適度な重さと滑り止めでしっかり安定し、大きめのロールにも対応しています。

「お母さんにプレゼントしたいなあ」とこぼしたところ、友人のご両親がコストコへ連れて行ってくれることに。ずいぶん前の話ですが、ずっと愛用してくれているようです。

伊藤ハムの加工肉や調理食品

ロースハムとレトルトの豚角煮を並べた様子

厚みがあり、豚肉のうま味をしっかり感じられるハムです。動物性たんぱく質を足したいときに、サラダに沿えて食べることが多いのだとか。
母いわく「ハムはこれしか買わない」というお気に入りっぷり。食べてみると、その理由がよくわかるおいしさでした。

豚角煮は、歯が悪い父でも難なく噛み切れるやわらかさ。これと野菜たっぷりのお味噌汁があれば、父の箸も進むそう。

母の背中は、思っていたより大きかった

70代の家庭のキッチンの様子(シンクまわり)

父は阪神大震災を機に単身赴任で他県へ。反抗期を迎えたクソガキ(私)と受験を控えた息子(兄)の日常を、母はひとりで支えてくれました。愚痴をこぼしたり、弱音を吐いたり、誰かを悪く言ったりする姿は、ほとんど見た記憶がありません。

一方の私はというと、大人になって海外出張へ行き、為替の値動きを気にしながら会社員として働くことで、立派な社会人になったと勘違いしていました。
でも実際は、いつまでも実家に居座り、家事のほとんどを母に任せきり、ただ年齢を重ねただけの「子ども部屋おばさん」。

そんな私も、晩婚と言って差し支えない年齢で結婚し、家を出ました。
夫と家庭を築き、日々の暮らしを回すなかで、先人たちが「家を出たら親のありがたみが分かる」と言っていた理由を、いまようやく実感しています。

私は若いころ、母のことを「世間知らずの主婦」と思っていましたが、まあとんでもない。どのツラ下げてそんなことを思えていたのでしょうか。子どもを2人育てながら家庭を守り、日々の献立を考え、家計をやりくりし、父の好みに合わせて工夫し、家族の暮らしを支えてきたスーパーオカンじゃないか。
もし過去の自分に会えるなら、鼻っ柱をバッキボキにへし折って、母に土下座させるでしょう。

実家の台所をのぞくたび、母ってすごい人だったんだなあと、しみじみ思うのです。

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